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タイムラグ

モノの色、形について。モノの色、形は光の反射を眼により把握する。


光の反射は、涙液層・角膜・房水・虹彩(瞳孔)・水晶体・硝子体を通って、網膜に達する。光は角膜・水晶体で光は屈折作用を受け、虹彩で光の絞り作用を受け、網膜の光受容体に達する。網膜に光が衝突すると、その衝突エネルギーが電気エネルギーに転換され、1次ニューロン、2次ニューロンを伝達し集まっていく。そして電気エネルギーは眼球の視神経を伝達、左右の視神経を半分ずつ入れ替え、3次ニューロンを通り側頭葉・頭頂葉に伝達され、後頭葉の第一次視覚野に至る。第一次視覚野に集められた電気情報は 視覚連合野に伝達され、視覚を統合して形象を再形成する。だいたいここまでで0.1秒かかる。現在我々が感じている現実は0.1秒前の世界の再構成されたものである。0.1秒のタイムラグがあるのだ。そして、再形成された認識内形象と記憶にある概念を結びつけて把握し、それに対して主観的意志として反応をするのにさらに0コンマ数秒ほどかかる。


①我々が感じている現在の感覚は0.1秒前の世界である。神経伝達と情報の再構成に刹那時間がかかる。したがって私たちの現在感じている世界はもはや存在していない。過去は物理的には存在しない。

②では、現在感じている世界と同時進行で五感により感受されている情報は0.1秒経たないと認識できない。0.1秒未来に再生される色や形はまだ発生していない。

③現在感じている世界は0.1秒前の世界なので、現在の感覚は現在の世界としては虚妄である。その世界は過ぎ去っている。また、現在瞬間に情報を捉えていても、再生される視覚は未だ発生していない。よって私たちは現在の世界を現在としてそのまま認識することは永遠に不可能である。


現象と感覚の間には永劫とも言える距離がある。この距離により認識上の形象は真実ではない、バーチャルな世界とも言える。我々は0.1秒前に撮ったビデオを再生し続けているのだ。そして、撮られた世界は刹那前に消滅している。この撮られた世界の連続が認識である。我々は先天的にメタバース上にいると言ってもよい。そうしたことから、モノと認識上のモノが剥離すると、モノはモノと考えられるのか?という疑問が導き出される。この疑問が唯物論に対する剣である。