増長天ー元は穀物神

 増長天・・梵名ヴィルーダカ(विरूढक [viruudhaka]、毘楼勒叉、 『成長、増大した者』)増長天の梵語名はビルーダカといい、毘楼勒叉(びるろくしゃ)と音訳されます。種子はビ(vi)。 「発芽し始めた穀物」という意味を持ち、五穀豊穣を司り、 その超人的な成長力をもって仏教を守護することから「増長天」と意訳されました。右手に長い槍を持ち、左手には刀。怒鳴りつけたように少し口を開き、 邪鬼を踏みつけ、目を大きく見開き睨みつけ忿怒の表情をしています。また、鳩槃荼や餓鬼といった眷属を配下とする。インド神話ではヴィルーダカはインドラの従者でした。

 

 発芽し始めた穀物・・この描写に穀物神としての増長天(ヴィルーダカ)が表れています。全天広しと言えど、穀物を表す星は、スピカとアルクトゥルスしかないでしょう。即ち、牛飼い座から乙女座のラインです。アルクトゥルスは、ちょうど麦が発芽しかける季節になると天に出てくることから『麦星』といわれています。しかし、牛飼い座は斜め上に北斗七星があるために、北の守護天としてとらえられてしまいます。増長天は、仏の住む世界を支える須弥山の4方向を護る四天王の1人として南瑠璃埵(みなみるりた)に住み、南の方角、或いは古代インドの世界観で地球上にあるとされた4つの大陸のうち南贍部洲(なんせんぶしゅう)を守護するとされています。つまりは、南に見えないとおかしいわけです。もうひとつのスピカはおとめ座の女神が持つ稲穂の先の位置にあり、スピカの名称もラテン語の穂先に由来しています。四月の中旬に南東の空を見るとスピカが青白く輝いています。スピカの原義は「(穂先のように)尖ったもの」の意で、英語のスパイク(Spike)と同根。その美しさから、日本では「真珠星」と呼ばれ、中国では「角」と呼ばれている。インドでは「Citra」と呼ばれていました。乙女座は天秤と穂先を持つことから、古くから穀物神(女神)の星座とされています。

 

 増長天が『乙女座』であろう、とあたりをつけたのには他にも理由があります。例えば胎蔵界曼荼羅では体色は赤肉色、右手は右胸の前で剣を持ち、左手は拳にして右腰に置く姿で描かれますが・・中国の民間信仰においては青い顔で宝剣を持った姿で表されます。青白い輝きはスピカではないでしょうか?アルクトゥルスならば麦色なので。

 

 そして、何よりもその従者です。『鳩槃荼』と『餓鬼』が増長天の従者とされていますが、そっくりなのが乙女座の近くにいます。乙女座の下の『コップ座』なのですが、ちょうど『鳩槃荼』なる魔物の形状そっくりなのです。サンスクリットではカバンダ (Kabhanda) パ-リ語でクバンダ (Kubhanda)。陰嚢のような形をしていることから陰嚢・甕形鬼・冬瓜鬼と漢訳されます。カバ(クンバ)は「瓶」を意味し、瓶のような性器をもつとされ、男性を誑かしては精気を吸い取るといわれている。まるで、『オナホ』のような魔物なのです。瓶そのものに変身することもできるらしいです。—コップ座は『瓶』そっくりです!!鳩槃荼は女性しかいないとされていますが、これは西洋におけるサッキュバスのようなものと推測されます。『人の睡眠を妨げて災難を引き起こす』ことから厭魅鬼・厭眉鬼とも呼ばれるらしいのですが、これなんかはまさにサッキュバス(夢魔)の類いと言えるでしょう。

 もう一つの従者が、六道の一つの世界を形成する『餓鬼』なのですが、これは『カラス座』です。カラス座の四つの星が、屈んだ餓鬼、もしくは餓鬼の膨れたお腹に見えなくもありません。餓鬼は『五穀豊穣』を願う農民たちにも見えます。飢饉のときの農民たちがおそらく『餓鬼』のモデルになったのでしょう。餓鬼たちはスピカ(増長天)に祈っているわけです。

 

 これらのことにより、おそらくは乙女座が増長天だと推測されます。しかし、困ったことに増長天が女人になってしまう・・。さて、ひょっとしたらですが・・ヴィルーダカのボスである『インドラ』の星座は、真上の『牛飼い座』かもしれません。自分には猟犬座がヴァジュラ(稲妻)に見えます。・・・『稲妻』とかけて『猟犬』ととく・・その心は『行って、狩って、戻ってくる。』