虫払い

 こんな夢を見た。虫がたくさん降ってくる。ムカデやら、ゲジゲジの類いである。私はいづこかの悪神の悪戯かと思った。ふと見ると、虫が降ってきたことに驚き慌てた多くの人々に、寺の僧侶が詰問されていた。老若男女はこの本に出ていることだ!と「変な本」をかざし、どういうことなのか、と口々に境内に叫んだ。僧侶は内心、迷惑と思っているらしく、そのうち寺の門を閉ざしてしまった。疲弊した人々は踏切を渡ったところにあるカフェで一休みした。カフェではウェイトレスの婆ぁが忙しそうに立ち回っていた。古風な洋風のドレスを着た婆ぁは、目が吊り上がっていて狐のようであった。カフェへの途中、踏切で立ち往生している赤いスポーツカーを人力で引っ張る山伏に遭遇した。目があった。なぜか山伏の真面目な目つきは昭和を思い起こさせた。赤いスポーツカーの中の男女はぐったりと死んだように眠っていた。山伏はカフェにまでついてきた。カフェの中の疲弊した人々を見ていた私は、ふと、こいつら死んだ人かもしれない、と思った。